欧州と日本の違い [六価クロムと健康への影響]

「アスベストの二の舞にならないように!」という副題のついた「酸化チタンナノ粒子による発ガン検査薬開発」の記事を最近見ました。

アスベスト被害とは、アスベスト切削や切断加工の作業者は粉塵吸引障害により中皮腫を発症するというものです。、

1973年からWTOはじめ国際的には指摘されていたリスクです。
欧米ではすでに手を打っていたので発症事例は少ないようです。

しかし、日本では2005年(平成17年)の厚生労働省の調べによれば、毎年1000人の人がアスベスト起因の中皮腫や肺がんで死亡しており、
その数は増加傾向にあるということです。

ナノ粒子ではそういう過ちをしないようにしようという科学者の宣言でした。
講師レジュメは以下のサイトアドレスから閲覧できます。

テーマ「ナノTiO2粒子の吸入暴露による発ガンのリスクマーカー」
名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体防御・総合医学専攻 准教授 二口 充氏
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/moltox.dir/index.html

その要旨は次のとおりです。

『ナノ材料は、生産/使用現場で呼吸により生体内へ侵入する。
我々はナノ粒子TiO2吸入暴露による肺発がん発生機構を明らかにし、ナノ粒子の吸入暴露による肺がんの危険性を示す有用なリスクマーカーを見いだした。
ナノ粒子の発がんリスク評価は始まったばかりである。
我々の技術はこれを応用し、世界で初めて各個人での肺がんの危険性をメカニズムに基づいたリスクマーカーを用いて示すことが可能である。』

こういう「人間を大事する研究者」には、おおいに発展していただきたいものです。

しかしながら、足元の六価クロム管理の実情を見ますと、アスベスト対応以下の状態を継続しているように見えてなりません。

日本における六価クロム汚染管理の状態を報じたブログ記事を抜粋します。

『1973年、昭和43年3月、東京の都営地下鉄工事中に日本化学工業の化学工場の跡地から六価クロム化合物を含む鉱さいが発見されたのが日本での市街地の土壌汚染問題の発端です。
六価クロムは鼻に刺激作用、腐食作用を示し左右の鼻の間のしきりに孔が開いたり、臭覚障害、肺がん、胃がんを引き起こします。

国・環境省は、昭和61年作成の「市街地土壌汚染に係る暫定対策指針」など「処理目標」とか「環境基準(25項目)」を設定しました。
いずれも達成する事が望ましい基準であり、なんら強制力がありませんでした。

オランダでは、国土を格子状のメッシュに切ってその格子点の土壌調査を行って汚染状況を把握。
ドイツはポジティブ・マップ(汚染がない地域の地図)、ネガティブ・マップを作成し、水源地域等には廃棄物処分場など地下水の汚染をもたらすような施設の立地を制限する制度を設けて汚染の未然防止対策を講じました。

米国では、汚染者が確定するまでのあいだ費用を負担する基金(スーパーファンド)をもうけ、浄化に取り組みました。

さて日本の対策の結果はどうでしょうか。先ほどの地下鉄工事中みつかった六価クロム鉱さいは、都が日本化学工業から別に買い取った工場跡地に、日本化学工業が運び処理剤を混ぜ埋め立て、
その上に盛り土をしました。今は東京都の公園になっています。

そして地下水に六価クロムが出てきています。
地表には黄色い結晶が吹き出てきています。
その公園で子供たちが遊んでいます。』(抜粋終わり)
(「畑の便り  №03-11 、 2003年3月11日」より)
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/HATAKE/hatake_03/hatake_0311.htm

これを読みますと、「人間の価値」というものが、オランダやドイツと比べて日本では安く見積もられているように感じます。

日本人は安く見積もってもかまわないという「隠れた国際ルール」でも在るのかもしれません。
同じ敗戦国であるドイツが国民を大事にしていますので、第2次世界大戦敗戦国であるという理由ではなさそうです。
もっと古代からある価値観なのかもしれません。
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