六価クロムと健康への影響 ブログトップ

400~500℃で六価クロムの生成は極大化する [六価クロムと健康への影響]

ある論文で読みました。
表面処理の廃液処理後のスラッジ(汚泥)処理の実験です。
スラッジを焼成して固めてブロックなどにしようとしていたのか不明ですが、常温から大気雰囲気中で加熱処理するときのデータです。

温度が400~500℃の付近でスラッジに含まれているクロム酸化物や金属クロムが酸化して猛毒の六価クロムに変化するということです。

極大化するということは、その付近で大量に発生したという意味だと思います。

クロム含有鋼鉄などを溶解処理したりする場合、表面にスラグが発生します。

それを別の容器(スラグパン)に受け入れて、自然冷却する場合、大気中雰囲気だと上記温度を通過することになります。

そこへ風での吹きつければ表面に発生した六価クロムの粉塵が大気中に舞い上がることになります。

軽度の場合は炎症を起こし、ひどくなると発ガンしますので、微細粉塵であるといっても健康上は注意する必要があるでしょう。

できれば窒素などの不活性雰囲気中で冷却することが望ましいでしょう。

排水中6価クロムの高炉スラグへの固定化技術 [六価クロムと健康への影響]

東大の生産技術研究所 附属サステイナブル材料国際研究センター の研究者が新しい金属イオン回収技術を公開しています。(公開日 2009 年11 月18 日)

「水熱反応やマイクロ波加熱による排水中重金属の鉄鋼スラグへの固定化およびスラグ中重
金属の回収 」
http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail.cgi?num=5141&query=&max=

詳細はこのアドレスからご覧ください。

この記事には、「クロムなどの重金属が含まれ、その溶出が懸念されている一部の製鋼スラグの無害化」を狙ったものだとあります。

一部の製鋼スラグは管理がいい加減だと地下水へ重金属が染み出すことを教えてくれます。

「水熱反応による排水中6価クロムの高炉スラグへの固定化を検討した結果、6価クロムの高炉スラグへ固定化・安定化が確認された。」ということで、一部の有害な製鋼スラグから排出された重金属を、おそらく有害でない普通の高炉スラグに吸着回収する手法のようです。

「水熱反応には250℃以上の水熱条件が必要」なので、別途加熱装置を必要とするというものでした。

いったん系外へ流出させてしまった重金属(このケースでは六価クロムと明記)を回収することは大変なエネルギーと苦労を伴うもの。

系外へ絶対流出しないような管理義務を企業は負っています。

いるはずです。

地下水への浸透がある地域では、井戸水や農業井戸水がいろいろな用途に利用されています。

直接飲用している場合は、発ガン性を持つ六価クロムであれば大変危険なことになりますし、すでになっている可能性さえありえます。

野菜や稲田へ地下水を放散している場合は、穀物や野菜類に付着してお茶の間へと運ばれている可能性もありえます。

私たちの口の中へなんとか侵入しようと重金属はたくらんでいます。

だからこそ、危険な猛毒の重金属の管理規制は厳しいのですが、法に抜け穴はないのでしょうか。

法基準に甘さがないのでしょうか。

特に製鋼スラグ発生地域の市民は、監視の目を厳しく持っておく必要があります。

以上



欧州と日本の違い [六価クロムと健康への影響]

「アスベストの二の舞にならないように!」という副題のついた「酸化チタンナノ粒子による発ガン検査薬開発」の記事を最近見ました。

アスベスト被害とは、アスベスト切削や切断加工の作業者は粉塵吸引障害により中皮腫を発症するというものです。、

1973年からWTOはじめ国際的には指摘されていたリスクです。
欧米ではすでに手を打っていたので発症事例は少ないようです。

しかし、日本では2005年(平成17年)の厚生労働省の調べによれば、毎年1000人の人がアスベスト起因の中皮腫や肺がんで死亡しており、
その数は増加傾向にあるということです。

ナノ粒子ではそういう過ちをしないようにしようという科学者の宣言でした。
講師レジュメは以下のサイトアドレスから閲覧できます。

テーマ「ナノTiO2粒子の吸入暴露による発ガンのリスクマーカー」
名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体防御・総合医学専攻 准教授 二口 充氏
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/moltox.dir/index.html

その要旨は次のとおりです。

『ナノ材料は、生産/使用現場で呼吸により生体内へ侵入する。
我々はナノ粒子TiO2吸入暴露による肺発がん発生機構を明らかにし、ナノ粒子の吸入暴露による肺がんの危険性を示す有用なリスクマーカーを見いだした。
ナノ粒子の発がんリスク評価は始まったばかりである。
我々の技術はこれを応用し、世界で初めて各個人での肺がんの危険性をメカニズムに基づいたリスクマーカーを用いて示すことが可能である。』

こういう「人間を大事する研究者」には、おおいに発展していただきたいものです。

しかしながら、足元の六価クロム管理の実情を見ますと、アスベスト対応以下の状態を継続しているように見えてなりません。

日本における六価クロム汚染管理の状態を報じたブログ記事を抜粋します。

『1973年、昭和43年3月、東京の都営地下鉄工事中に日本化学工業の化学工場の跡地から六価クロム化合物を含む鉱さいが発見されたのが日本での市街地の土壌汚染問題の発端です。
六価クロムは鼻に刺激作用、腐食作用を示し左右の鼻の間のしきりに孔が開いたり、臭覚障害、肺がん、胃がんを引き起こします。

国・環境省は、昭和61年作成の「市街地土壌汚染に係る暫定対策指針」など「処理目標」とか「環境基準(25項目)」を設定しました。
いずれも達成する事が望ましい基準であり、なんら強制力がありませんでした。

オランダでは、国土を格子状のメッシュに切ってその格子点の土壌調査を行って汚染状況を把握。
ドイツはポジティブ・マップ(汚染がない地域の地図)、ネガティブ・マップを作成し、水源地域等には廃棄物処分場など地下水の汚染をもたらすような施設の立地を制限する制度を設けて汚染の未然防止対策を講じました。

米国では、汚染者が確定するまでのあいだ費用を負担する基金(スーパーファンド)をもうけ、浄化に取り組みました。

さて日本の対策の結果はどうでしょうか。先ほどの地下鉄工事中みつかった六価クロム鉱さいは、都が日本化学工業から別に買い取った工場跡地に、日本化学工業が運び処理剤を混ぜ埋め立て、
その上に盛り土をしました。今は東京都の公園になっています。

そして地下水に六価クロムが出てきています。
地表には黄色い結晶が吹き出てきています。
その公園で子供たちが遊んでいます。』(抜粋終わり)
(「畑の便り  №03-11 、 2003年3月11日」より)
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/HATAKE/hatake_03/hatake_0311.htm

これを読みますと、「人間の価値」というものが、オランダやドイツと比べて日本では安く見積もられているように感じます。

日本人は安く見積もってもかまわないという「隠れた国際ルール」でも在るのかもしれません。
同じ敗戦国であるドイツが国民を大事にしていますので、第2次世界大戦敗戦国であるという理由ではなさそうです。
もっと古代からある価値観なのかもしれません。

埃と酸性雨に注意 [六価クロムと健康への影響]

六価クロムについて解説した記事を以下に抜粋します。
その中で大事なことと思ったのは次のとおりです。

①水中のクロムは通常3価と6価の形で存在するということ。(ゆえに地下水浸透させてはならない)
②pHが酸性のときは酸化力が強く、有毒であること。
(中和されているはずの埃を浴びたあと酸性雨に打たれた場合要注意。すぐにシャワーを浴びて流すこと)


『酸化数が六のクロムを含む化合物・イオン。
三酸化クロム・クロム酸塩など。
酸化力・毒性が強い。
皮膚に触れると潰瘍を起こし、体内に入れば肝臓障害・肺癌などを起こす。
鍍金(めつき)工場、クロム化合物製造工場などの廃液による水質汚染が社会問題となった。

六価クロム(K2Cr2O7)
化合物の中でも6価として存在するクロムのことです。
クロム酸(CrO3),重クロム酸カリ,重クロム酸ソーダ(Na2Cr2O7)等が主なもので,
強力な酸化剤として働くため,金属の洗浄,装置の防食等に用いられます。
6価クロムの毒性は強く,消化器,肺等から吸収されて浮腫,潰瘍を生じます。


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六価クロム(Cr(VI))
クロムは、銀白色の硬くて脆い金属で、地殻中の存在量は、約100mg/リットルです。
水中のクロムは通常3価と6価の形で存在します。

このうち6価クロムは主にクロム酸(CrO42-)や重クロム酸(Cr2O72-)の形をとり、特にpHが酸性のときは酸化力が強く、有毒です。

主な用途としては、顔料、電気メッキ等があり、これらの廃液や、
クロム鉱さいからの浸出水による地下水汚染が報告されています。

人体への影響としては、皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、肺がん等があります。
環境基準値は、「0.05mg/リットル以下」と定められています。 』
「六価クロムとは? Weblio 辞書 」より抜粋。
三省堂 大辞林
http://www.weblio.jp/content/%E5%85%AD%E4%BE%A1%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A0

六価クロムに関心がある方は御覧下さい [六価クロムと健康への影響]

2006年(最近)の文献がありました。
六価クロムに関心がある方は御覧下さい。
古い資料を信じていた私にとっては衝撃的な事実が含まれていました。

表題「水酸化クロムおよび含クロム混合水酸化物の焼成における6価クロム生成」
http://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/57/6/445/_pdf/-char/ja/

眞保 良吉1), 星野 重夫1)
1) 武蔵工業大学
(Accepted March 27, 2006)

水酸化クロム含有スラッジを焼結処理する過程で、800℃にて6価クロム生成が極大を示すことが示されていました。
純粋な水酸化クロム試薬による実験では、600℃焼成されたものは63μm以下の粉末となるようです。

ナノサイズものが含まれているかどうかはここでは調べていないようです。

いずれにしてもクロムは水酸化物状態で高温焼成されると、それは60ミクロン程度の微細な粉末となるようで、高温(800℃)前後で焼成すると 六価の生成が極大化するということでした。

それによれば、スラッジやスラグを800℃程度で焼結処理して減容するプロセスでは減容とともに塊の表面付近に六価クロムを生成していることになります。

その粉末に雨が降れば、六価クロムは再度水溶化し低いphを示すということです。
水溶液のph管理によってある程度六価クロムの生成推測が可能かも知れません。

アルカリを混入させて中和する手法がとられますが、それにより100%六価クロムが消滅することを証明する必要があるでしょう。
塊の内部には残存している可能性は残ります。
アルカリ処理の場合は、「完全なる混合」が必要でしょう。

この資料には「水相中6価クロム濃度20ppmでph3.4」と出ていました。
かなり強い酸性です。
雨中に酸が含まれる酸性雨の場合は、六価クロムの生成は促進されるだろうと思われます。

以上をまとめると、800℃を超える高温状態の酸化クロムを水冷する場合、800℃を通過するときに極大の6価を生成し、それが常温まで冷却する過程で水溶すればその水のphは3.4くらいになると想像されます。

高温スラグの冷却時の温度管理や粉塵管理はとても重要になります。
密閉された室内で、人の接近を禁止した作業とするべきでしょうし、冷却過程での六価クロム発生有無の検知をする必要があるでしょう。
さらに天日で乾燥されれば63μ以下の微粉末となって強い風により大気中に飛散する可能性があるでしょう。

プロセスは完全に閉じた空間内で処理し、拡散を防止する必要があると思われます。

なお6価クロムの環境基準値は、「0.05mg/リットル以下」(つまり0.05ppm以下のこと)です。
猛毒ゆえに、環境基準もきわめて厳しい数値が設定されています。
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六価クロムの猛毒性にチャレンジ! [六価クロムと健康への影響]

六価クロムは猛毒です。
身近にあることはあまり知られていません。
クロム鉱精錬所やクロム鉱を利用する製鉄業などで排出するクロム鉱さいにも含まれています。

危険なクロム鉱さいの管理は法律で規制されていますが、ナノサイズの粒子の飛散などについては学会も法律もまだ解析し切れていません。

しかし、毎日人々はそれらを吸ったり、経口摂取しています。

科学や政府が管理できないのであれば、私たち自身で健康被害を調べ、病気で苦しむ人がいれば救ってあげる必要があると思っています。

技術開発コンサルティングを目指して作ったこのブログですが、当面は[「六価クロムの有害性」について解説することになります。

また現実に被害に遭っている人々との意見交換(コメント欄記入による)をしながらその救済方法も話し合っていきたいと思います。
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