懐かしい東海道 [奥州街道日記]
東京ビッグサイトにいく途中、私は新橋駅のゆりかもめのホームに立っていた。
ホームの下を現在の東海道が直行している。
このあたりは都会化しているから旧街道は残っていない。
北品川から海寄りに旧街道が残るだけである。
五年前に私が歩いた東海道は、このゆりかもめのホーム下を通る国道一号線の右側歩道だったことに気づいた。
道路に標識が出ている。「横浜29km」
初めての東海道は、夕方神奈川宿着だった。
日本橋から歩いたから30km以上も初日から歩いていたようだ。
旅慣れていない素人だった当時の私のけなげな頑張りが不思議に愛おしく思われる。
旅慣れてからは、一日20~25kwしか歩いていない。
自分の体にフィットした距離感を把握したからだ。
それ以上歩いたら足が一週間もたないことを学習したからだ。
最初の宿場「神奈川」は横浜駅北寄りのやや高台にある。
旧東海道は老舗料亭田中屋の前を通っている。
歩いたその数年前に、あることを聞いてくれた役人幹部を接待し、お礼として芸者をあげて歓待した店がその田中屋だった。
そのときは田中屋が江戸創業の有名な店で、東海道沿いにあることなど私は知らなかった。
最近のテレビ番組で、龍馬暗殺後に妻のおりょうは神奈川宿の田中屋で働き人気者になっていたことを知った。
東海道は私にいろいろなことを教えてくれる。
ゆりかもめが五年前の私の街道歩きの初陣を思い出させてくれた。