人の器械~萩の吉田松陰(6) [萩の吉田松陰]

SH3B0016Aファイブ.jpgSH3B0016A長州ファイブ写真
SH3B0016Aファイブ解説.jpgSH3B0016A長州ファイブ解説

前の記事に掲載した「長州ファイブ」の説明板の写真を拡大して部分的に抜粋したものを再掲する。

これより、解説文を抜粋する。
長州ファイブとは英語では「The Choshu Five」と表記していた。

『長州ファイブとは?

文久3年(1863)、英国に密航留学した長州出身の若者たち―伊藤博文(春輔)・井上馨(聞多)・山尾庸三・井上勝(野村弥吉)・遠藤謹助―。
近年は留学先の英国でも彼らの功績が評価され、「長州ファイブ」の呼び名で顕彰されている。

江戸時代初頭に日本人の海外渡航が禁じられて以来、国禁を破って密航したのはこの5人が最初である。

幕末期、日本は欧米列強の植民地化の危機にあった。

長州藩重臣の周布政之助は、欧米列強と互角に渡り合うためには西洋文明・先進技術を身に付けた「人の器械」が必要だと考え、行く末を若い5人に託した。

このことはただ長州藩のためだけでなく、結果的には日本の近代化に大きく貢献することになったのである。

伊藤博文 初代内閣総理大臣 
井上馨 初代外務大臣
山尾庸三 工部卿(工業の父)
井上勝 鉄道庁長官(鉄道の父)
遠藤謹助 造幣局長

鉄道庁長官だった井上勝が含まれているから、萩駅舎入り口にこの説明板が掲げられていたのだ。

「人の器械」が必要だと断じた周布政之助という人物に興味が湧いてきた。

「人の器械」という表現は、決して日本文学的ではない。
どちらかというと奴隷制度に親しんできた欧米列強側が当時抱いていた概念ではないだろうか。

近年の用語だと
思うが、ロボット工学では「人の器械」に似た響きを持つものとして「ヒューマノイド」という言葉がある。

『ヒューマノイド(Humanoid)とは、「人間に似た姿をしているが人間ではないもの」のこと。人間を含む使われ方をする場合もある。次のどれかを意味することが多い。

中略。

ヒューマノイドという言葉は、人間に類似の身体構造をもつあらゆる存在に用いられる。
従って、神話上の被造物やサイエンス・フィクションやファンタジーに登場する人工生命体(ロボット)だけではなく、最広義にはサルもヒューマノイドと言える。』(ヒューマノイド(Wikipedia)より)

西洋人から見た場合、黄色いサルもヒューマノイドとする考え方は当時の世界では当然存在していたものではないだろうか。

あの「長州ファイブ」のことである。

周布の「人の器械」という言葉がこの説明板に書かれていなかったならば、江戸期の初の密航者たちとしての単なる記念碑としてしか私の記憶に残らなかっただろう。

しかし、萩観光の玄関口で、この看板は私に強烈な刺激を与えてくれたようだ。

周布を取り巻く当時の萩の「ある世界」には、西洋の香りが漂っていたような気がする。

「人の器械」なる人間は、別の言葉で言えば「操(あやつ)り人形」とも解釈できる。

果たして、誰が何のために操ったのか、それが問題である。
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